温かな霊たち

「温かな霊たち 」

あれは私が産後の肥立ちが悪くて入院していた時のこと。 同じ病室の女の子が、「歌の年鑑」という分厚い本を持っていた。 私も見せてもらいたくなって、私は、その子に本を借りたのだ。 見せて見せてと見せてもらった時に異変が起こった。 私は我が目を疑った。そこに掲載されていたアイドル歌手たちの写真の背後におびただしい数の霊が写っていたからだ。 写っていない写真もいくつかはあったけれど、開くページ開くページに掲載されていた歌手の写真の背後に写っていたといっても過言ではなかった。 なんでそのようなものが突然見えてしまったのかは、自分でもさっぱりわからない。 だけど確かにはっきり見えた。 写っている霊のほとんどが顔の部分だった。さみしそうな感じではあったけれど、不思議と恐ろしくはなかった。うまくいえないけれど、私が見たあの時写真の霊は、みんなとても温かい感じがした。 そういう霊が見えたという事を、私はその女の子には話さずにその年鑑を返した。 そうなのだった。霊は、とても温かかった。 そういえば、小さい頃、「お墓は温かいですが、神社は、さむくていけません」といっていた、浮浪者さんの話を思い出した。その人は、住む家がなくて、お墓や、神社で寝泊りされていた。